セシリエ・マンツ

1972年-

バイオグラフィー

芸術家を両親に持つセシリエ・マンツは、幼少期に彼らの作業場でデザインの世界に出会いました。彼女のキャリアは1992年からのデンマーク王立美術院での修学に始まります。ヘルシンキ芸術デザイン大学での一学期間の留学を終えた後、マンツは自身の会社を設立し、以来そのスタジオを中心に活動しています。

昔ながらの仕事へのアプローチ 

デンマーク人デザイナーのマンツの世界は、自身のアートへの愛を中心に展開しています。彼女の作品の名前の多くは彼女が憧れる創造力へのオマージュです。コペンハーゲンの自身のスタジオで紙に絵を描き、地下の作業場で造形をし、常に一人で制作活動をする彼女の仕事のスタイルは、ある意味昔ながらのものだと言えるかもしれません。

私はすべての作品を1つの大きな進行中の物語の断片として捉えています。プロジェクトは時と機能を超え、そのアイデア、素材、美意識から結び付けられ、関連付けられます」とマンツは語っています。

マンツは照明や陶器、インテリアアクセサリー、家具のデザインといった仕事を通して自身の完璧なデザイン能力を示してきました。彼女はスカンジナビアのシンプルなスタイルにモダンで国際的なスタイルを融合することを常に重視しています。彼女の作品は「形態は機能に従う」という哲学を守りつつも、そのデザインに穏やかな美しさを備えています。控えめでありながらもそれらの作品はその芸術的スタイルで世界に存在を示しています。

細部への強いこだわり

マンツは、素材の耐久性と優れたクラフツマンシップを重視するデンマーク人の傾向に応えたコンセプト作りに努めています。また、照明デザインでは光そのものから目を奪うことのない、常に機能が優先された照明の開発に取り組んでいます。彼女のデザインは、革新的でありながらもミニマムで細部への配慮がなされている点が特徴です。2005年に発表されたペンダントランプ、カラヴァッジオは、その魅力的でタイムレスなデザインで瞬く間に成功を収め、デザインアイコンとしての地位を獲得しました。モダンな表現を目に見える形にしたこの照明は、今もなおデンマーク国内外の個人住宅、ブティック、オフィススペースで採用され非常に高い人気を維持しています。
マンツの特徴的なスタイルは、彼女がフリッツ・ハンセンのためにデザインしたアクセサリーコレクションのアイテムにも明確に表れています。陶器から照明、チェアや収納アイテムに至るまで、彼女は私たちの日常生活で役割を持ちながらも、シンプルかつ実用的で物語性のある様々なアイテムをデザインしています。マンツのクリーンでモダンな感覚は、瀬戸の伝統的な陶芸工房で手作りされる彼女のデザインの花瓶や鉢だけでなく、同じく踏み石のようなフォルムを持つプフにも見ることができます。マンツがフリッツ・ハンセンのためにデザインしたアイテムにはエッセイテーブルやラウンジチェアのミナスキュールも含まれます。それらの作品は、デンマーク家具の伝統的なスタイルに従いつつも好奇心と革新をそのエレガントな造形とソフトなフォルムに備えています。

尽きることのない才能

受賞歴を誇るデンマーク人デザイナーのセシリエ・マンツはモダンミニマリズムの達人だといえます。彼女は2007年にフィン・ユール建築賞(Finn Juhl Architectural Prize)ならびに家具賞を、2008年にはベルリン芸術賞(Kunstpreis Berlin)、2009年にはブルーノ・マットソン賞(Bruno Mathsson Prize)、2011年にはソーバル・ビンデスブル・メダル(Thorvald Bindesbøll Medal)を受賞するなど、数々の名誉ある賞を受賞しています。また、彼女の作品は ニューヨーク近代美術館やデザインミュージアムデンマークなどのランドマーク的な施設において常設展示されています。優れたデザインを生み出し続け、斬新なフォルムや新しい素材を取り入れたデザインで絶えず私たちに驚きを与えるマンツの才能は賞賛を得て、2014年にはデンマーク・クラウン・プリンス・カップル文化賞(Crown Prince Couple’s Culture Prize)を受賞しました。