フリッツ・ハンセン庵

~北欧インテリアを軸に考える地域活性化~


北欧インテリアを軸に考える地域活性化

高齢化が進み、空き屋、空き地問題を抱える人口300人の島、香川県本島。そんな島の将来の新たな産業になり、雇用が生まれるきっかけになればと立ち上がったのが、四国香川県で北欧の家具をメインとしたインテリアの販売と空間コーディネートを行っているCONNECTの代表である高木智仁氏です。

「愛着を持てる、よいモノを販売し、インテリアを軸に心地よい暮らしをトータルでサポートできるお店にしたい」と15年前にCONNECTをオープンし、今では住宅のリノベーションや新築のプロデュースなども行っています。

高木氏はデザインがどのように生まれ、その国でどのように使われているのか、デザインを学ぶ中で北欧の人々の暮らしぶりや文化も学ぶようになりました。その一方でCONNECTがある地域を見渡すと、高齢化が進み、空き屋や空き地、耕作放棄地が増え、廃墟に囲まれている現実があります。地域全体が良くなることこそ、そこに住む人々が心地よく暮らせるようになると考える高木氏は、北欧に通う中で知り合った、デンマーク王立芸術アカデミー(以下:KADK)の学生と、2017年秋から地域の問題である空き家のリノベーションプロジェクトに発足し、このプロジェクトの継続と地域活性化のために2018年6月にはエリア・リノベーションを目的とした会社を立ち上げました。

フリッツ・ハンセンは、弊社の正規販売店であるCONNECTの高木氏の活動に感銘を受け、こういった活動がより多くの方の目に触れ、地方への関心が増し、デザインの魅力を感じていただき、様々なアイデアに繋がるようなきっかけになる体験をご提供したいと考え、本島にある空き家をフリッツ・ハンセンの世界観で設え、島を訪れた方々どなたにでもご覧いただける展示を行うこととなりました。「フリッツ・ハンセン庵」は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている笠島というエリアにある江戸時代の古民家の中に、フリッツ・ハンセンのコレクションを詰め込んで、日本の建築とデンマークの名作家具たちの融合をお楽しみいただける展示です。フリッツ・ハンセン庵内のフラワーデザインはデンマーク人のフラワーアーティストのニコライ バーグマン率いるフラワーデザインブランド Nicolai Bergmann Flowers & Designによるインスタレーションです。

フリッツ・ハンセン庵の周辺では高木氏がKADKの学生と取り組んでいるリノベーションプロジェクト物件もご覧いただけます。島内に民宿を営んでいる方もいらっしゃいますが、みなさん高齢のため、島に気軽に泊まれる環境があるとは言い難い状況になっているため、気軽に宿泊できる施設を作ることにより、島に立ち寄ってもらえる環境作りをしたいという狙いから、ゲストハウスをオープンすることを目標としながらプロジェクトを進めています。

またフェリーの船着き場にある「Honjima Stand(ホンジマスタンド)」は、長く営まれていた島で唯一の定食屋さんが高齢を理由に閉店してしまった跡地を高木氏が引き継いで島の情報発信の場として営業を再開している施設で、会期中は日本のデザインオフィスnendoがデザインしたN01(エヌゼロワン)チェアをご紹介するN01カフェとして、訪れる方々をお迎えしました。

瀬戸内の穏やかな海の景色と雄大な瀬戸大橋をパノラマで見渡すことができ、古くは豊臣秀吉の時代から瀬戸内の会場交通の要にもなっていた本島の古民家が日本建築に調和するデンマークデザインの空間となりました。