「コペンハーゲンの教訓」
本会議では、国連が掲げる「17の持続可能な開発目標」の実現に向けて、建造環境を取り巻く変化をさらに加速させるための10の原則から構成される「コペンハーゲンの教訓」が発表されました。また、建築界が世にもたらした解決策がサステナブルなコミュニティの促進と人々の生活の質の向上に貢献したと賞賛されるいっぽう、膨大なエネルギー消費と廃棄物の問題、さらには不平等と公衆衛生への影響という建築界が抱えている課題にも目が向けられました。
そのなかでも緊急課題として注目されたのが建設業由来のCO2と廃棄物の排出量です。世界のCO2排出量に占める建設業の割合は40%、廃棄物排出量に関しては35%と、どちらも高い数値が確認されています。これについて本議会のナタリー・モッシン議長は「一刻の猶予も許されません」と、危機感をにじませました。
10の「コペンハーゲンの教訓」はこちらをご覧ください。
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建築界がワンボイスでメッセージを発信
本会議のトークイベントのモデレーターを務めた建築家兼フリッツ・ハンセンのデザイン部門責任者のマリー=ルイーズ・ホストボは、「本会議では、業界全体がひとつの考えのもと団結し、明確なメッセージを発信していました。それは、変化とアクションがもはや必要不可欠である、ということです」と語りました。
また、プリツカー賞の受賞者である建築家のディエベド・フランシス・ケレをゲストに迎えたキーノート・ダイアローグも行われました。そこでケレは、「安易なソリューションはとても危険です」と建築界の未来について明確な方向性を示すと同時に、こうしたアプローチがはらむリスクに警鐘を鳴らしました。また、「Rethinking Resources - How To Do More With Less(リソースの再考——より少ないリソースで多くの成果を実現する方法)」と銘打った講演を通じて、スマートな解決策に目を向けるようにと建築界に呼びかけ、常に新しい建物を建てることよりも、建物自体の寿命を伸ばすことの重要性を主張したのです。
フリッツ・ハンセンがUIAに参加
フリッツ・ハンセンは、会期中に使用される家具を提供することで、約6000人が参加したこの歴史的な会議をサポート。フリッツ・ハンセンのプロダクトでしつらえたステージやソーシャルエリア、ラウンジスペース、VIPエリアが誕生しました。さらには、デザイン部門責任者のマリー=ルイーズ・ホストボがモデレーターとして「Connecting Design & Architecture: How Design Impacts Body and Mind(デザインと建築をつなぐ——デザインが心と体に与える影響について)」というトークイベントに参加。ホストボの司会進行のもと、空間とデザインのつながりと、建築とデザインというヒューマンな体験について専門家たちが意見を交わしました。
UIA世界建築家会議と講演者の詳細、トークの内容、参加者が何を学んだかを詳しく知りたい方は、本会議の専用サイトをご覧ください。詳しく見る(UIA World Congress of Architects – CPH 2023