ノボ ノルディスク−カナダ支社

SDI DesignのJoanne Chan社長とデザインディレクターのBruce Freeman氏とのQ&A

SDI Designは、どのようにして今回のプロジェクトの顧客のニーズとブランドメッセージを把握したのですか?

デザインプロセスはとても協力的でインクルーシブなものでした。SDI Designが橋となってノボ ノルディスクのリーダーシップ委員会と社長と協力し、デザインチームがノボ ノルディスクが企業として取り組んでいること、企業文化、ブランドのねらいを関連づけてこれらを体現しました。私たちは、北欧・カナダ・デンマークの文化の融合を内包したデザインストーリーと、ノボ ノルディスク独自の製薬がここトロントで発明されたことを称えるストーリーを提案しました。ここにあるすべてのアレゴリー(寓意)は、文化の関連性を表現すると同時に、こうしたメッセージをスタッフに遊び心あふれる方法で簡潔に伝えるツールとしての役割を果たしています。

フリッツ・ハンセンの製品——そのなかでもアリンコチェアを選んだ理由は?

デザインチームの全面的なサポートとともに顧客であるノボ ノルディスクから、企業としてのルーツを祝うために何十年も前に同社のコペンハーゲン工場で使われていたものと同じ椅子をカナダの新オフィスの社員食堂で使いたいという強いリクエストをいただきました。その椅子とは、1952年にアルネ・ヤコブセンが同社のコペンハーゲン工場の社員食堂のために特別にデザインしたフリッツ・ハンセンの名作、アリンコチェアです。60年以上のときを経てもアリンコチェアは昔と変わらずフレッシュかつ重要な作品であり、長年愛され続けてきました。さらに顧客は、所有していたスワンチェア数脚を配置し直しました。これらは、フリッツ・ハンセンがデザインした「ノボ ノルディスク・ブルー」という同社のイメージにぴったりの青いファブリック仕様によるものです。


このプロジェクトが特別である理由は何ですか?

このプロジェクトは、2つの北国の文化を融合させた最高の事例です。デンマークのデザインと神話、さらにはカナダの文化的価値観を表現するため、デザインチームはノボ ノルディスクの自然とおとぎ話への愛着を中心に据えたストーリーを考案しました。


ノボ ノルディスクのミッションは、科学的進歩をリードし、医療へのアクセスを拡大するとともに疾患を予防し最終的に治療することです。ノボ ノルディスクのミッションをサポートするため、私たちは同社の拠点であるオフィスをバイタリティあふれる1本の樹と解釈しました。自然光あふれる最上階のワーキングスペースは新しいアイデアを刺激して成長を育む一方、地上階のアメニティ空間は樹の根が育まれる森の地面を表現しています。木材に縁取られた内部階段は、両フロアを結ぶ幹のような存在なのです。


カナダを象徴する「ボートハウス」が湖になぞらえたカフェを見下ろすなか、椅子やテーブルが睡蓮へと姿を変えます。こぢんまりとした2階は北欧神話の世界から飛び出してきたかのような「トロールハウス」(一対一のミーティングスペース)で、カナダの先住民の人々が手がけた作品にあふれています。


こうしたささやかなアレゴリーがあるからこそ、ノボ ノルディスクは会社全体を通じて地元カナダの文化を伝えることができるのです。